■シナリオ予告

 

 ある日、一人の男が死んだ。

 ランチを終えたばかりだったのだろう。

 血と糞と食べ残しの跡が、地面に染みを作っていた。

 男が生きていた証は、その染みだけだった。

 彼の死を伝えたとき、妻は泣いた。

 来月、娘が生まれる予定だった。
  
 この街は男が一人死んだくらいじゃ、泣いてはくれない。

 だから、降りしきる雨が彼の染みを溶かしたとしても――これは涙なんかじゃない。

 この街が流す涙は、いつも赤いのだから。

 手には銃。

 銃声の嗚咽と共に、彼の染みを洗い流すため。

 この街は、涙を流す必要があった。

 

 トーキョーNOVA The Detnation
 ―― LU$T SONG ――

 

 血は、血でしか贖えない。

 

■ハンドアウト

 PC1:カブトワリ
 シナリオコネ:ダニエル・ロウ(故人・享年32歳・男)

 幼馴染がいた。
 昔から、何をするにも一緒だった。喜びも悲しみも、全て分かち合ってきた。
 「俺が死んだときは、陰気なレクイエムなんか止してくれ」
 そう言って、陽気に笑っていた。
 彼の結婚を機に街を離れ、疎遠になってから10年。
 新聞記者だった彼は調査中に何者かに撃たれ、死んだ。
 残ったのは美しい妻とこれから生まれる娘。そして僅かな保険金。
 それがダニエルという男の人生の、全てだった。
 裏稼業に腰まで浸かった己が彼にしてやれる事は、ただ一つ。
 彼の望んだ、レクイエムを歌うこと。
 とびきり陽気な最後の歌を。明るく哀しい、復讐の歌を。
 銃声の伴奏を響かせ、天国の彼に捧げるのだ。

 

 PC2:イヌ(又は)トーキー
 シナリオコネ:“ベビーフェイス”キドニー・ジーン

 カーライル・シンジケートのマフィア、キドニー。
 違法臓器の密売を手がけているという噂がありながら、政財界への癒着が強く、手を出せない相手だ。
 だが鉄壁のはずの彼の周囲が、最近あわただしい。
 それはある愚かなトーキーが、安い正義感から取材を試み――消された事に端を発していた。
 トーキーの死を契機に、キドニーを狙う男が現われた。
 PC1。彼をマークしておけば、あのベビーフェイスを歪ませる事ができるかもしれない。
 勇敢な愚か者(ヒーロー)に軽い哀悼と深い感謝を捧げ、闘争の匂いを追い始めた。

 

 PC3:フェイト
 シナリオコネ:エニル・ロウ

 フェイト稼業とは厄介事の始末だ。
 しかも今回は、若くて美人の、しかも未亡人が持ってくる話ときた。
 これは火傷どころじゃ済まないなんて、最初からわかっていた。
 仕事熱心すぎて消されちまった旦那の敵討ち。
 泣かせる話だ。
 泣かせるついでに抱かせてくれれば――なんて冗談を言える相手ではなかった。
 ベビーフェイスキドニー・ジーン。
 カーライルの大物で、迂闊に手が出せない相手だ。
 だが死んだ旦那は中々に優秀だったらしい。
 遺した資料は断片的だが、これが真実なら、奴を一生ブタ箱に入れられるだろう。
 美人を泣かせた分ぐらいは、あのベビーフェイスを泣きっ面に変えてやれそうだ。